「このクリエイター、もっと広まってほしい!」そんな気持ちを、ボタンひとつで後押しできる新機能がYouTubeに登場しました。その名も「ハイプ(Hype)」。
これは、登録者数が少ない中小規模のチャンネルを視聴者の応援で盛り上げる仕組みで、週3回まで無料で“推し”にポイントを送れるという参加型の新機能です。
従来の「いいね」や「Super Chat」では届きにくかった支援が、もっと気軽に、もっと明確にクリエイターの力になる設計になっています。
本記事では、このハイプ機能の使い方や仕組み、対応条件、注目ポイント、そして今後の展望までを分かりやすく解説。
ファンもクリエイターも、これを知っておくだけでYouTubeの世界がもっと楽しく、もっと熱くなるはずです。
YouTube「ハイプ(Hype)」とは?
視聴者が“推し”クリエイターを手軽かつ能動的に応援できる、YouTubeの新しい応援・拡散システムが「ハイプ(Hype)」です。
この機能は、登録者数が500人から50万人の比較的中小規模のチャンネルに限定されており、動画が公開されてから7日以内の長尺コンテンツに対してのみ適用されます。
視聴者は、対象動画に表示される「ハイプ」ボタンを通じて、週3回まで無料で応援ポイントを送ることができます。
このポイントはチャンネルの登録者数に応じて倍率が変動し、登録者数が少ないチャンネルほど高ポイントが加算される仕組みです。
ポイントの累積は1週間単位で集計され、その合計によって各国ごとの「トップ100 ハイプ動画」ランキングが作成され、注目度の高い動画には特別なバッジが付与されるなど、ランキング上昇によるさらなる可視化と拡散が期待できます。
ハイプ機能の基本仕様
- 対象チャンネル : チャンネル登録者数が500人から50万人の範囲にある、比較的小規模〜中規模のクリエイターに限定されています。また、YouTubeパートナープログラム(YPP)に参加していることが必須条件となっています。
- 対象動画 : 公開から7日以内の長尺動画が対象となります。ショート動画(Shorts)やライブ配信、そして「子供向け」に設定された動画はハイプ機能の対象外となります。
- 視聴者側の制限 : ハイプは週に3回まで無料で使用可能です。この制限は毎週月曜日の午前0時にリセットされます。また、この機能は現在Androidアプリ限定で提供されており、iOSやPCからは使用できません。
- ポイント倍率 : ハイプで付与されるポイントは、チャンネル登録者数によって変動し、登録者数が少ないほど高い倍率が適用されます。例えば、登録者500人のチャンネルに対しては7,500ポイントが、50万人のチャンネルには50ポイントが付与されるなど、インディー系のクリエイターが有利になる設計です。
- ランキング : 付与されたポイントは過去7日間の合計値が集計され、各国ごとにトップ100のランキングが作成されます。これにより、優れた動画がより多くの視聴者に発見されやすくなります。
- バッジ : ハイプポイントの多い動画には「Hyped」バッジが、またその動画に最も多くハイプを送った視聴者には「Hype Star」バッジが付与され、ユーザーの貢献が可視化されます。
- 有料ハイプ : 現在、ブラジルおよびトルコにおいてテスト導入されている段階で、こちらは有料で制限なしにポイントを付与できるオプションです。将来的には他国への展開も検討されています。
使い方(視聴者)
YouTube モバイルアプリ(Android)を起動し、自分が応援したい対象動画を開きます。
対象となるのは、登録者500〜50万人のチャンネルが公開してから7日以内の長尺動画に限られます。
動画の下に表示されるコメントプレビューのカルーセル部分を左方向にスワイプしていくと、「ハイプ」と書かれた項目が現れます。
この「ハイプ」セクションが表示されていない場合は、対象動画ではないか、アプリのバージョンや地域が非対応の可能性があります。
「ハイプ」をタップすると、送信できるポイントの候補が表示されます。
その中から希望するポイント数を選び、もう一度タップするとポイントが即時反映されます。
なお、一度ハイプを送ると取り消しや変更はできませんので、慎重に選択する必要があります。
無料ハイプは各ユーザーにつき1週間に3回まで使用可能で、毎週月曜日の午前0時に自動的にリセットされます。
現在はAndroidアプリでのみ対応しており、iOSユーザーやPCブラウザでは利用できません。
クリエイター側の設定
YouTube Studio アプリ(Android版) を開き、サイドメニューから [収益化] タブにアクセスし、[視聴者にハイプを許可] のトグルスイッチをオンにします。
これにより、ハイプ機能が自身の動画に対して有効化され、視聴者からのハイプを受け取ることが可能になります。
設定後は新規に投稿する動画にも自動的にハイプが反映されます。
デスクトップ版のYouTube Studioでは、詳細設定メニューから個別にハイプ機能をオフ(オプトアウト)にすることも可能です。
特定の動画やチャンネルの方針によって、柔軟に制御できます。
この機能を利用するには、YouTubeの コミュニティガイドライン および 著作権ポリシー に厳密に準拠していることが必須条件です。
違反があると機能の利用停止、またはバッジの剥奪などの制限措置を受ける可能性があります。
注目ポイント
小規模チャンネル救済
ハイプ機能では、チャンネル登録者数に応じてポイントの倍率が変動するため、大規模チャンネルに比べて不利になりがちな小規模クリエイターにもスポットライトが当たりやすくなります。
従来のアルゴリズムでは埋もれてしまいがちな新興チャンネルにも、ファンの後押し次第で一気に注目されるチャンスが提供されるのが大きな特徴です。
ファン参加型マーケ
従来の「いいね」やコメントに加えて、視聴者が“応援したい”という意志をポイントという形で可視化できることで、マーケティング活動に能動的に関われます。
投げ銭よりも敷居が低く、週3回の無料ハイプという仕組みによって、より多くのファンが日常的に参加できる環境が整っています。
新収益源の可能性
現在テスト段階にある有料ハイプの導入によって、Super Chat やメンバーシップ以外のマネタイズ手段として拡充される可能性があります。
とくにライブ配信を行っていないクリエイターにとっては、新たな収益チャネルとして注目されるでしょう。
週次ランキングで露出増
ハイプによるポイントが毎週集計され、国ごとにトップ100のランキングが公開されるため、地域に根ざしたクリエイターが話題に上がりやすくなります。
ランキングに入れば新たな視聴者の目に触れる機会も増え、再生回数や登録者の増加にもつながると期待されています。
よくある質問(FAQ)
Q. ハイプボタンが表示されない
A. 使用しているデバイスやアプリのバージョンによっては、ハイプボタンが表示されないことがあります。
特にiOSやPCアプリでは現時点でハイプ機能が未対応であり、また、対象外の動画(Shorts、ライブ配信、子供向け設定など)や、まだ提供が開始されていない地域ではボタンが非表示となります。
対象動画であっても、アプリが最新でない場合は機能が表示されない可能性もあるため、まずはアプリの更新状況を確認してみてください。
Q. 取り消しや返金はできる?
A. ハイプの送信は一度実行するとキャンセルや取り消しができません。
無料であっても有料であっても同様で、送信後にポイントが即時反映される仕組みとなっています。
そのため、誤操作に注意して、十分に確認したうえでハイプを行うようにしてください。返金対応も現時点では設けられていません。
Q. おすすめアルゴリズムには影響する?
A. ハイプは主に「トップ100ランキング」や動画に表示される「Hyped」バッジ、ユーザーに対する「Hype Star」バッジなどに影響しますが、YouTubeのおすすめ動画アルゴリズム(ホームフィードや関連動画の推薦など)には直接的な影響はないとされています。
ただし、ランキング入りによる露出増加を通じて結果的に視聴回数が伸び、間接的におすすめに載る可能性はあります。
今後の展望と関連機能
ベータ初月だけで 5,000 万回を超えるハイプアクション が世界中で発生し、ユーザーの年齢層では特に18〜24歳の若年層が約3割を占めたことが確認されています。
この結果は、Z世代を中心とした若いユーザー層が新機能に敏感で、積極的に新しい応援体験を取り入れていることを示唆しています。
YouTubeとしても、この世代へのリーチ強化とコミュニティ形成において、ハイプ機能の戦略的重要性を再認識する材料となっています。
現在は限定された国やAndroid端末のみで利用可能ですが、今後は利用対象の国やOSを順次拡大していく予定です。
これにより、より多くのユーザーに機能が開放され、グローバルに一貫したハイプ文化の醸成が期待されます。
特にiOS対応やパソコンブラウザ対応が加われば、利用可能人口が一気に拡大することになるでしょう。
ハイプの導入と同時に、YouTubeでは他にも視聴体験を革新する機能が複数リリースされました。例えば、「Jump Ahead」はAIが自動的に視聴者の視線やスキップ傾向を解析し、興味のあるパートへスムーズにジャンプできる機能で、視聴効率を飛躍的に向上させます。
また、YouTube Musicの「Daily Discover」機能では、ユーザーの好みに合わせて毎日新しい楽曲を提案し、音楽との偶発的な出会いを生み出しています。
こうした複数の新機能群とハイプを組み合わせることで、YouTubeは従来の「受動的に観る」サービスから「能動的に参加する」体験型プラットフォームへと進化しつつあります。
まとめ
ハイプは、従来の「いいね」よりも明確な応援の意思表示ができ、「Super Chat」よりも手軽に利用できることで注目を集めている新たな視聴者参加型の支援機能です。視聴者は週に3回という制限内であっても、無料で自分の好きなクリエイターをハイプし、その応援の気持ちを具体的なポイントとして反映させることが可能です。これにより、単なる閲覧にとどまらず、動画の評価や広がりに貢献することができるという“参加感”を得られる点も大きな魅力です。
今後このハイプ機能が日本国内で正式にリリースされれば、まだ広く知られていない中小規模のチャンネルでも、視聴者の熱量によってランキング入りを果たし、一気に認知度を高めることが可能になるでしょう。チャンネル運営者にとっては、ファンとの距離を縮めながらリーチを拡大できる絶好のチャンスであり、収益化における新たな柱にもなり得る重要な機能です。
視聴者は毎週リセットされる3回分の無料ハイプを活用し、応援したいタイミングでタイムリーにポイントを送ることができます。そしてクリエイター側は、そのハイプが蓄積された結果、ランキング上位に入ることで新たな視聴者層に動画を届けるチャンスを得るだけでなく、ファンとのエンゲージメント強化やブランド形成にもつなげることができるでしょう。