最近、X(旧Twitter)で「このアカウントを頻繁に見ているユーザーTOP10がわかる」という投稿が話題になっています。特定の形式で@Grokにリプライすると、まるで足跡機能のように“自分をよく見ている人の一覧”が表示される──そんな噂を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、Xは個別の閲覧履歴を外部に公開しておらず、Grokもプライバシー保護のためにこうした情報を回答できない仕組みになっています。本記事では、なぜXやGrokが閲覧者を教えないのか、法規制や技術的背景を踏まえてわかりやすく解説します。さらに、公式アナリティクスや外部ツールを活用して「誰が反応しているのか」を把握する現実的な方法も紹介。誤った情報に惑わされず、安全にSNSを活用するためのヒントをお届けします。
要点まとめ(まずは結論だけ知りたい方向け)
- X(旧Twitter)は「誰が何回あなたのプロフィールを見たか」という個別閲覧履歴を一切公開していません。
- Grok(xAI)も X が持っていない個別閲覧データにはアクセスできず、プライバシー保護ポリシーにより個人を特定する情報を回答できません。
- EU の GDPR など法規制もあり、個人の閲覧行動を第三者に渡すと巨額の制裁金対象になるため、X は技術的にも契約上もデータを外部公開しません。
- 最近流行している「Grok に聞くとストーカー TOP10 を教えてくれる」という投稿は、実際には 公開エンゲージメント頻度を推定表示したものか、単なるジョーク/デマです。
1. X が閲覧者リストを出さない理由
1‑1. プライバシー設計
- X が公開する「表示回数」「プロフィール訪問数」は数値のみで、ユーザー ID は非公開。これはユーザーが安心して利用できるよう、プラットフォーム設計段階から個人特定情報を切り離す方針が取られているためです。
- 公式アナリティクスでも「誰が訪問したか」は確認できないと明記されています。さらに、過去には閲覧者情報を一部でも公開する案が社内で検討されたこともありましたが、ユーザー離れや投稿意欲の低下につながる懸念から採用されませんでした。
- このように、ユーザー体験とプライバシー保護を両立するため、X は設計段階で足跡機能を持たない方針を徹底しています。
1‑2. API 仕様と第三者ツール
- X の公開 API には閲覧者リストを取得するエンドポイントがなく、サードパーティ製アプリでも取得不可能。開発者向けのドキュメントでも、個人を特定できる閲覧データの提供は行わないと明記されています。
- 「足跡が分かる」とうたう拡張機能やアプリはスパム・詐欺のリスクが高いので避けるべきです。これらの多くは実際にはユーザーのブラウザ履歴や認証情報を盗み取る悪質な仕組みを含んでいることがあり、セキュリティの観点からも危険です。
- たとえ第三者サービスがランキングのような表示をしていても、それは過去のいいねやリポストなどの公開情報を基にした推測に過ぎず、正確な閲覧履歴ではありません。
1‑3. 法規制(GDPR 等)
- EU では閲覧履歴も個人情報と見なされる場合があり、無断共有は高額制裁金の対象。GDPR では個人の行動履歴の取扱いが非常に厳格で、同意なく利用すると巨額の罰金が科されることがあります。
- X は Grok の学習データ収集について各国の規制当局の監査を受けています。AI の学習に使われるデータについても、公開ポストに限るなど厳しい制約を設け、非公開行動ログは利用しないと明言しています。
- こうした背景により、X は社内外問わず個別閲覧データの開示を行わず、プライバシーと法規制の両面から足跡機能の提供を避けているのです。
2. Grok が回答を拒否する仕組み
ポリシー項目 | 内容 |
---|---|
個人データの遮断 | 「個人情報やセンシティブ情報を共有しないでください」と明記し、該当質問には応答を制限。これは個人の特定やプライバシー侵害を防ぐための重要な安全策であり、ユーザーの信頼を守るために厳格に運用されています。 |
学習データの範囲 | Grok は “公開ポスト・公開プロフィール” のみを扱い、非公開行動ログは含めない。つまり、DMや非公開アカウントの情報、アクセス履歴といったセンシティブなデータはそもそも収集や利用の対象外とされています。 |
回答生成時の制限 | 個人を特定できるデータが入力に含まれない限り、出力でも開示不可。これにより、学習済みのモデルが過去のデータから個人情報を推測して出力するリスクを最小限にしています。 |
この仕組みにより、例えば「このアカウントを頻繁に見ているユーザーを教えて」といったリクエストは、たとえ内部的に一部の統計情報が存在していたとしても、プライバシー侵害につながる恐れがあるため返答がブロックされます。Grok は回答生成前に入力内容を自動的にスキャンし、個人特定やセンシティブ情報を推測するような質問は拒否する設計です。さらに、利用規約でもこの方針が明示されており、AI が不適切な形で個人情報を利用しないことが保証されています。
そのため閲覧者 TOP10 のような「個人の行動ログ」を求める質問はポリシー違反となり、「プライバシー上回答できない」という拒否応答が返されるのです。
3. 「ハックで見られる」系トレンドの真偽
- 2025 年 7 月ごろ、特定の書式で @grok にリプライすると「頻繁に覗いているアカウント一覧」を返すという投稿が拡散しました。SNS 上では「本当に足跡がわかるのでは?」と大きな話題になり、まとめサイトや動画でも取り上げられるほどのブームになりました。
- しかし、Grok 公式は 「いいね・リポスト・返信など公開エンゲージメントから推計した推定値」 だと説明しており、実際の閲覧回数データではないことを強調しています。つまり、公開されている行動履歴を元に「この人はあなたの投稿に関わる頻度が高い」という推定をしているだけで、プロフィール閲覧やポスト閲覧の回数を把握しているわけではありません。
- 実際に表示されるのは “関与が多いユーザー” のリストであり、本当の足跡とは全くの別物です。さらに、このリストはあくまで一時的な推定であり、表示される順番や内容はアルゴリズムの更新やデータの変化によって簡単に変わります。
- こうした現象は、ユーザーの関心を引く「ハック風コンテンツ」として拡散されやすく、ジョークやネタとして楽しむ目的で投稿されるケースも多くあります。結果として、「足跡がバレる」という誤解が生まれやすく、不要な不安やデマが広がってしまう点に注意が必要です。
4. 代替的にできること
4‑1. 公式アナリティクスで訪問数を把握
- X Premium に加入し Creator Studio ▶ アナリティクスを開く。これにより、通常の利用では確認できない詳細なデータが閲覧可能になります。
- 「Profile visits」指標で過去 28 日間の訪問者数推移を確認可能。グラフ形式で表示されるため、特定の投稿やイベントがアクセス数にどう影響したかも把握しやすく、投稿戦略の見直しに役立ちます。
- さらに、インプレッション数やエンゲージメント率など他の指標と併せて見ることで、どのタイプの投稿がより多くの注目を集めているかを分析できます。
4‑2. エンゲージメント上位ユーザーを調べる
- 各投稿ごとに「詳細クリック」「プロフィールクリック」を見れば、誰が反応したかは把握できる(=閲覧して行動した人)。これらは公開されたアクションに基づくため、プライバシーを侵害することなく利用できます。
- Hootsuite、Social Status、Tweet Binder などの外部解析ツールは 公開エンゲージメントを集計して上位アカウントをランキング化できる。こうしたツールを使えば、フォロワーの行動傾向や最も影響力のあるユーザーを特定し、マーケティングや情報発信の戦略に活用可能です。
- 一部のサービスでは、期間ごとのレポートやハッシュタグ別の分析、投稿内容別のエンゲージメント比較なども可能で、より戦略的にSNS運用を行う助けになります。
4‑3. プライバシー設定でリスクを下げる
- アカウントを非公開化すると、投稿が学習データにもならず閲覧数も絞られる(伸びは遅くなる)。非公開化は情報の流出リスクを下げたい場合には有効ですが、フォロワー以外との交流は難しくなります。
- 「データ共有とパーソナライゼーション」→「Grok & Third‑party Collaborators」でオプトアウトすれば、Grok の学習にも使われません。この設定により、自分の投稿や行動履歴がAIの学習や広告配信に活用されるのを防ぐことができます。
- あわせて、アカウントのセキュリティ設定や二段階認証の導入など、総合的な対策を行うことで、SNS利用時の安全性をさらに高められます。
5. まとめ
- X は技術的にも契約的にも閲覧者リストを公開しない設計であり、そもそも個別閲覧履歴を外部に提供しない仕様を貫いています。これはユーザーの安心感やプライバシー保護を重視した結果であり、将来的にも方針が大きく変わる可能性は低いと考えられます。
- Grok は同じデータ制限を受け、個人を特定する閲覧履歴は返答不可となっています。AI が過去のデータから個人の行動を推測したり漏えいしたりしないよう、利用規約と技術的制約の両面で強固な仕組みが導入されています。
- ネットで出回る「Grok ハック」は実質的にはエンゲージメント頻度に基づく推定かジョーク投稿にすぎず、真の閲覧回数や足跡情報ではありません。もし誰が頻繁に反応しているのかを把握したい場合は、公開エンゲージメントの分析や公式・外部アナリティクスの活用によって、一定の近似値を得ることが現実的な方法です。
- まとめると、「閲覧者の特定」をうたうサービスやブラウザ拡張機能は、情報収集の名目で個人情報を盗み取る危険性が高く、アカウント乗っ取りや詐欺被害に繋がるリスクがあります。正確な足跡を知ることはできない以上、安易にそうしたサービスを利用しないことが最も安全です。
最終的に、SNS を安心して使い続けるためには、公式が提供する範囲内での分析や設定変更を活用し、怪しいツールや拡張機能には手を出さないことが重要です。